ステンメッシュオイルフィルターは、一見すると非常に魅力的である。
アルミ削り出しケース。
洗浄して再使用可能。
高流量。
油圧低下が少ない。
分解して異物確認ができる。
これだけ見ると、紙フィルターより完全に上位の製品に見える。
しかし、ここに罠がある。
ステンメッシュフィルターは、高流量であることが最大の特徴である。
だが、高流量であることと、高ろ過性能であることは同じではない。
オイルフィルターで重要なのは、何ミクロンの粒子を、何%捕集できるかである。
単に15ミクロン、35ミクロンといった数字だけを見ても、それが名目値なのか、絶対値なのか、捕集効率なのかが分からなければ意味がない。
紙フィルターや合成繊維フィルターには、深層ろ過という強みがある。
細かい繊維層の中で異物を捕まえるため、捕集効率を高めやすい。
一方、ステンメッシュ式は金属メッシュの開口で異物を止める構造であり、流量は稼ぎやすいが、細かい粒子の捕集性能では紙・合成繊維系と単純比較できない。
つまり、ステンメッシュは高流量。
紙・合成繊維は高捕集。
このように分けて考えるべきである。
ステンメッシュ式の本当のメリットは、点検性である。
フィルターを分解し、メッシュに付いた金属粉や異物を直接確認できる。
これは、エンジンの状態確認には非常に有効である。
慣らし後、エンジン組み直し後、サーキット走行後、異音発生時などには、紙フィルターより早く異常の兆候を見つけやすい。
しかし、再使用できるということは、洗浄管理が必要という意味でもある。
洗浄不足。
異物残り。
Oリング劣化。
締付不良。
パーツクリーナー残留。
こうした管理を怠れば、再使用式のメリットは一気にデメリットになる。
紙フィルターなら毎回新品になる。
ステンメッシュ式は、毎回自分の整備品質が問われる。
だから、ステンメッシュフィルターは誰にでも勧めるものではない。
サーキット走行、エンジン点検、油圧変化の観察、金属粉確認を重視する人には向く。
一方、街乗り、通勤、長期使用、交換だけで済ませたい人には、高品質な紙フィルターや合成繊維フィルターの方が合理的な場合も多い。
ステンメッシュは悪くない。
むしろ、使い方を分かっている人には非常に面白い。
しかし、紙フィルターの完全上位互換ではない。
ステンメッシュフィルターは、ろ過性能で無条件に最強なのではない。
高流量と点検性に価値があるフィルターである。
ここを理解せずに使うと、ステンメッシュオイルフィルターの罠にはまる。
ステンメッシュオイルフィルターは、高流量・低抵抗・分解点検性に優れる。
しかし、細かい粒子の捕集性能では、高性能な紙・合成繊維フィルターと単純に比較できない。
高流量=高ろ過性能ではない。
再使用可能=管理が楽、でもない。
再使用可能だからこそ、洗浄、Oリング、締付、異物確認の管理が必要になる。
街乗り・通勤なら、高品質な紙フィルターでも十分合理的である。
サーキット走行、エンジン状態確認、金属粉チェック、油圧応答を重視するなら、ステンメッシュ式には価値がある。
つまり、ステンメッシュフィルターは最強のフィルターではない。
点検できる高流量フィルターである。
そこを理解して使うべきである。